設計段階に起因する主要トラブル
ここまで見てきたように高機能、コストダウンを実現するMIMですが、設計においては留意点が存在します。このようなトラブルへの具体的な対処方法は次ページ以降の事例に示すとおりですが、大別すると以下の5つのポイントに分けることができます。
肉厚によるトラブル |
10mm以上の肉厚部分があるとMIM製品には、成形段階でソリやヒケといった影響が現れ易くなり、製品完成時にクラック等が入ってしまいます。また、肉厚部分と薄肉形状が混在する場合も反り、ヒケ等の影響が起こり易くなります。 |
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穴・ボス形状に関するトラブル |
成形の際に樹脂が形状を回りこんで合流することでウェルドラインと呼ばれる、割れ易くなる跡ができてしまったり、脱脂・焼結と工程を進めていく中で穴形状やボス形状は形状が歪んだり、倒れてしまったりといったトラブルがおこります。 |
コーナー形状に関するトラブル |
直角のコーナー周りでは成形時に不安定流動がおこりやすくなります。不安定流動がおこると金属粉末の分布が均一でなくなり、製品完成時に一部分がもろくなったり、クラックが発生することがあります。 |
ゲート設計に関するトラブル |
MIM製品の成形時には、金属粉末と樹脂の混合物の射出跡が残るジェッティング等、各種トラブルが起こり易くなります。こういった成形時のトラブルは後工程の脱脂焼結時にクラックや形状歪みとなってMIM製品に現れます。 |
複雑形状・微細形状に関するトラブル |
MIMにおいて金属粉末は樹脂のバインダと混合した上で成形が行われますが、このバインダが複雑形状や寸法精度を出せるかといった課題に深く関わっています。例えば型の隅まで成形できないショートショットなどバインダに影響を大きく受けるトラブルも存在します。太盛工業では樹脂成形の技術を応用し、複雑形状、微細形状のMIM加工(特殊MIM及び超精密MIM・μーMIMR)を行っています。 |